【浦安市/任意後見・死後事務・遺言】今後の財産管理や相続について、いざというときには姪にすべて任せたい
事案(親族関係)
87歳の叔父様と、その姪からのご相談です。
叔父様は奥様を亡くし、現在、都内で一人暮らしをしています。
お子様はいなく、兄弟や甥姪がいますが、そのなかの一人の姪が叔父様ととても親交が深く、一人暮らしになった今も叔父様の暮らしを支えている状況です。
叔父様は高齢ですが、驚くほど元気で明瞭な判断力がありますが、「自分にもしもがあったときには、姪にすべて任せたい」と常々考えていました。
姪としても、自分ができることがあれば、法的にしっかりとした立場で、トラブルにならないようにしておきたいとの思いがあります。
叔父様の想いと姪の考えを実現するためにはどのような手段があるのか、家族信託という方法を聞いたが自分達には向いているのかなど、悩んでいる状況でした。
当事務所からの提案&お手伝い
叔父様と姪が不安に思われていることを整理すると、次のようなものでした。
(1)判断能力はあるけど身体が動かなくなってきたときのこと
(2)認知症などで財産管理が難しくなったときのこと
(3)亡くなった後の葬儀や納骨、役所での事務手続き等のこと
(4)亡くなった後の遺産のこと
姪の方が調べていた「家族信託」は、財産管理を任せたり、財産の承継を決めることができる制度で、成年後見や遺言に近い機能があります。
近年とても注目され、広がりを見せている制度です。
ただ、家族信託は、まだまだ新しい制度で、法務上・税務上に様々な注意点や懸念があります。また、家族信託では対応できない手続きもあります。
親族関係や財産状況、そして、叔父様と姪のご希望を伺い、相談を重ねたところ、必ずしも、家族信託が向いているわけではないという判断になりました。
そこで、これらの叔父様の不安を解決して、姪の方も法的に明確な立場で行動できるようにするために、それぞれ次のような手段をご提案しました。
(1)判断能力はあるけど身体が動かなくなってきたときのこと ⇒ 財産管理委任契約
(2)認知症などで自分での財産管理が難しくなったときのこと ⇒ 任意後見契約
(3)亡くなった後の葬儀や納骨、役所での事務手続き等のこと ⇒ 死後事務委任契約
(4)亡くなった後の遺産のこと ⇒ 公正証書遺言
叔父様も姪の方も、やるべき対応が明確になり、それぞれの書類作成を進めていく方向でお話がまとまりました。
解決
まずは、叔父様の正確な親族関係を把握するため、戸籍を取得することから始めました。
そして、叔父様としては、認知症などで判断ができなくなったときにどのように対応してほしいのか、葬儀や納骨の希望、遺産の分け方の希望などをうかがいました。
そのうえで、叔父様のご希望に沿った形で、かつ、法律的にもトラブルがないように確認しながら、公正証書の文案を作成し確認していただきました。
すべての書類を公正証書で作成するため、都内の公証役場との案文調整や日程調整を含め、数回のやり取りがありましたが、それらの調整はすべて弊所が窓口になって行い、叔父様と姪の方に極力負担がないよう進めました。
作成の当日は、当事務所が遺言の証人としても立ち合いを行い、無事にすべての書類を公正証書で作りました。
しかし、叔父様と姪の方にとっては、書類を作成して終わりではなく、ここからが「任せる」「任される」のスタートです。
姪の方には、今後訪れるであろうそれぞれの場面に応じて、適切な管理や事務が求められます。
特に、任意後見は、裁判所への申立てや正確な財産管理・記録作成が求められます。
当事務所でも、法定後見や任意後見を受任していますが、1円単位まで気を遣った収支の管理や記録、本人の意向の確認等を徹底しています。
姪の方は、細かい書類作業は問題ないということでしたが、各場面に応じた適法・適切な役割や動き方について相談をしていきたいとのことで、今後も状況に応じてご相談いただき、叔父様と姪の方のサポートをしていくことになりました。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士 オールシップ
代表
市山 智
- 保有資格
司法書士 行政書士
- 専門分野
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相続・遺言・成年後見・民事信託
- 経歴
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相続・遺言・生前対策を中心に取り扱う「司法書士法人・行政書士オールシップ」の代表。相続関係の手続きや成年後見等の財産管理など、年間300件以上の相談に対応。分かりやすく・笑顔で相談に乗れるよう心掛け、迅速・丁寧な対応で依頼者からの信頼も厚く、リピートや紹介での依頼も多い。相続関連書籍の執筆協力やセミナー・研修等の講師実績も多数あり。