葬儀費用は相続財産に含まれる?
突然の相続の発生。まず最初に気になるのが、「葬儀費用」の支払いをどうするかです。相続人がみんなで負担するもの?それとも故人の遺した財産から支払ってよいもの?
規模や内容により値段が大きく違いますが、いずれにしてもまとまったお金が必要になります。相続人の間で揉め事にならないように、ここで改めて確認しておきましょう。
葬儀費用は、相続の対象となる財産(債務)なのでしょうか?
相続財産に含まれるものには、預貯金や 不動産、負債などがあります。
葬儀費用は通常は被相続人が亡くなった後に発生するため、相続財産に含まれません。よって、各相続人が当然に相続し、分担して支払わなければならない性質のものではありません。
しかし、葬儀を行うことは社会通念上当然のことと考えられていますので、相続人全員の合意があれば、葬儀費用は例外的に相続財産に含まれ、相続財産からマイナスすることが認められています。
ただし、葬儀に必要のないものは葬儀費用に該当しないので注意しましょう。
あくまで基本的な葬儀にかかる費用に限られます。香典返しにかかる費用や宿泊費などもここでは葬儀費用に含まれません。
相続の対象となる財産とは?
原則として、相続財産に含まれるものとは
・被相続人が亡くなった瞬間に所有している財産などの権利義務(負債も含む)
・被相続人の一身専属的な権利義務ではない権利や義務、地位など
があります。
二つ目の「一身専属的」とは、その人以外に替えがきかない権利や義務のことです。例えば教師や弁護士、医師免許など、資被相続人が取得した資格や地位が該当します。他には生活保護や各種年金の受給権や公営住宅の使用権、親権者の地位などもこれにあたります。これらは預貯金や不動産などと違い、個人の人格や才能、法的地位などと密接不可欠の関係にあるため相続の対象にはなりません。
しかし、被相続人が相続人を受取人として指定した保険金は、民法上では相続財産になりませんが、相続税を計算するときに財産として含まれます。こうした民法と税法の違いにも留意しながら、相続財産に含まれるものと含まれないものを選別していくことが重要です。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士 オールシップ
代表
市山 智
- 保有資格
司法書士 行政書士
- 専門分野
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相続・遺言・成年後見・民事信託
- 経歴
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相続・遺言・生前対策を中心に取り扱う「司法書士法人・行政書士オールシップ」の代表。相続関係の手続きや成年後見等の財産管理など、年間300件以上の相談に対応。分かりやすく・笑顔で相談に乗れるよう心掛け、迅速・丁寧な対応で依頼者からの信頼も厚く、リピートや紹介での依頼も多い。相続関連書籍の執筆協力やセミナー・研修等の講師実績も多数あり。