預貯金の名義変更手続き | 相続に関わる手続 | 浦安・市川相続遺言相談室
よく知られていることですが、被相続人名義の預貯金は、金融機関が被相続人の死亡を確認した時点から、預金口座が凍結されます。
これは、一部の相続人が許可なく預金を引き出したりすることを防止するためです。
このように凍結された預貯金の払い戻しができるようにするための手続きは、遺産分割が行われる前か、行われた後かによって手続きが異なります。 ※事前にそれぞれの金融機関に確認が必要となります。
金融機関の相続手続き
遺産分割協議「前」の場合
遺産分割前の場合には、以下の書類を金融機関に提出することになります。
■金融機関所定の払い戻し請求書
■相続人全員の印鑑証明書
■被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのものすべて)
■各相続人の現在の戸籍謄本
■被相続人の預金通帳と届出印
金融機関によっては用意する書類が異なる場合もあります。
ここで、重要なのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍と、相続人全員の戸籍が必要ということです。
出生から死亡までのすべての戸籍を取得するのは、どの戸籍が必要かを把握するだけでも知識がないと大変です。
被相続人が、結婚により住所を変えていた場合や引越しをした際には、本籍地が移動している場合も少なくありません。
その場合には、それぞれの役所に戸籍取得の申請を行う必要があります。
また、休日は役所も銀行も空いていないことが多く、平日に仕事を休まなければなりませんし、戸籍の取得漏れがあれば、その都度、やり直しをしないといけません。
当事務所は相続財産(遺産)整理の専門家として、煩雑で面倒な預貯金の名義変更手続も多くのお客様にご依頼いただいております。
遺産分割協議「後」の場合
遺産分割をどのように済ませたかにより、手続きは異なりますので事前にしっかりおさえておきましょう。
1.遺産分割協議に基づく場合 以下の書類を金融機関に提出することになります。
■金融機関所定の払い戻し請求書
■相続人全員の印鑑証明書
■被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのものすべて)
■各相続人の現在の戸籍謄本
■被相続人の預金通帳と届出印
■遺産分割協議書(相続人全員が実印で押印)
2.調停・審判に基づく場合 以下の書類を金融機関に提出することになります。
■金融機関所定の払い戻し請求書
■家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本 (いずれも家庭裁判所で発行を受けることができます。)
■預金を相続した人の戸籍謄本と印鑑証明書
■被相続人の預金通帳と届出印
3.遺言書に基づく場合 以下の書類を金融機関に提出することになります。
■金融機関所定の払い戻し請求書
■遺言書
■被相続人の除籍謄本(最後の本籍の市区町村役場で取得できます。)
■遺言によって財産をもらう人の印鑑証明書
■被相続人の預金通帳と届出印
自分で名義変更手続きを行うときの、よくある事例
預貯金の名義変更を自分で行うことは可能ですが、実は、銀行の窓口も相続手続きについて詳しく知らない場合が多いため、下のようなことが頻繁に起こります。
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<相続の相談者>
「預金の名義変更をしたいのですが?」
<銀行の窓口>
「少々お待ちください。・・・・(しばらく待たされる)この用紙に書かれている、戸籍と印鑑証明書と・・・・・・を持ってきてください。」
<相続の相談者>
「わかりました。」
・・・2,3週間後
<相続の相談者>
「預金の名義変更に必要な書類をもってきました。この前言われた書類を持ってきたのですが・・・」
<銀行の窓口>
「確認いたしますので、少々お待ちください。・・・(数十分待たされる。)
・・・申し訳ありませんが、こちらの書面には、相続人の××さんの署名も必要になります。また、ほかに○○の書類の提出が必要になります・・・」
<相続の相談者>
「この前うかがったときは、そのことは言われなかったのですが・・・××さんの署名と○○の書類ですね。ほかに必要なものはないですね?」
<銀行の窓口>
「はい、ちょっと確認しますね・・・・・これで大丈夫なはずです。」
・・・さらに2,3週間後
<相続の相談者>
「名義変更をしてもらいたいのですが、言われた書類を全部持ってきました。確認してもらえますか?」
<銀行の窓口>
「確認しますので少々お待ちください。・・・(数十分待たされる)
・・・お待たせしました。申し訳ございませんが、こちらの書類は、お客様ではなく、■■さんの印鑑が必要です。それと、こちらの書類のこの欄は、・・・」
<相続の相談者>
「この前、これで大丈夫って言ってたじゃないですか
・・・分かりました。その他は本当にもう大丈夫なんですよね?」
<銀行の窓口>
「申し訳ありません。その他は大丈夫です。恐れ入りますが、再度ご用意のうえ、いらっしゃってください」
・・・さらにもう2,3週間後
<相続の相談者>
「預金の名義変更にきました。言われた書類をすべて持ってきました。もう何回も確認してもらってますから、これで大丈夫なはずですが・・・」
<銀行の窓口>
「かしこまりました。少々お待ちください・・・(数十分待たされる)
・・・大変申し上げにくいのですが、本部に確認しましたところ、実はお客様の場合は、こちらの書類のほかにこの書類の署名も必要になりまして・・・」
<相続の相談者>
「もう3回目ですよ!初めに言ってくださいよ!何回くればいいんですか!」
最後に
最近は、金融機関によっては、相続の法律や手続きに慣れている担当者がいる場合もあります。
しかし、相続の手続きは、大変複雑で煩雑な手続きがあり、窓口でもよく理解してないことがまだまだ少なくありません。
司法書士は戸籍等の必要書類を収集することができるため、お客様のほうであれやこれやと集める必要がありません。
また、当事務所では銀行の相続手続も行っていますから、お客様の方で銀行の窓口に何度も行く必要がありません。
銀行の相続手続も、よりスピーディーに安心して手続きを終わらせることができます。
当事務所では、「預貯金の相続手続き」もサポートしておりますので
(遺産を丸ごと相続手続する「遺産承継業務」)、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士 オールシップ
代表
市山 智
- 保有資格
司法書士 行政書士
- 専門分野
-
相続・遺言・成年後見・民事信託
- 経歴
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相続・遺言・生前対策を中心に取り扱う「司法書士法人・行政書士オールシップ」の代表。相続関係の手続きや成年後見等の財産管理など、年間300件以上の相談に対応。分かりやすく・笑顔で相談に乗れるよう心掛け、迅速・丁寧な対応で依頼者からの信頼も厚く、リピートや紹介での依頼も多い。相続関連書籍の執筆協力やセミナー・研修等の講師実績も多数あり。