寄与分・特別受益とは? | 当事務所の相続コラム(浦安・市川) | 浦安・市川相続遺言相談室
遺産分割協議の際に「寄与分」や「特別受益」が持ち出されるとトラブルが発生する可能性が高くなります。
寄与分とは、相続人を献身的に介護した相続人がいる場合などにその相続人の取得分を増やすことです。特別受益は、生前贈与などによって特定の相続人が受けた特別な利益です。特別受益が認められるとその相続人の遺産取得分を減少させることが可能です。
無益な遺産分割トラブルを防止するため、これらの制度についての正しい知識を持っておきましょう。
今回は寄与分と特別受益について、解説していきます。
1.寄与分が認められるケース
特定の相続人に多めの財産取得権が認められる「寄与分」。
認められるのは以下のようなケースです。
◆相続人が献身的に被相続人を介護した
◆相続人がほぼ無給で長年被相続人の家業を手伝い続けた
◆相続人が被相続人に金銭援助をした
◆相続人が被相続人の財産管理を行った
◆相続人が被相続人を扶養した
ただし寄与分が認められるのは「特別の寄与」があったケースに限られます。「親族として当然」と考えられる程度の援助や扶養であったり、れば、寄与分は認められません。
また、民法改正により、相続人以外の親族であっても被相続人への貢献が認められ、「特別寄与料」を請求できるようになりました。
相続人以外の親族で、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合には、寄与に応じた額の金銭(「特別寄与料」)を相続人に対して請求できるようになりました。
ただし、この特別の寄与が認められるのは、「親族として当然」と考えられる程度の援助や扶養であったり、対価をもらって有償での支援であれば、寄与とは認められません。
2.寄与分や特別寄与料が主張される場合の解決方法
特定の相続人が寄与分を主張する場合や相続人以外が特別寄与料を請求する場合、本当に寄与分・特別寄与料が認められるのか、認められるならどの程度かを決定する必要があります。相続人全員で話し合って合意を目指しましょう。
遺産分割協議で合意できなければ家庭裁判所で遺産分割調停を行う必要があります。
遺産相続の際、寄与分や特別寄与料について疑問や希望があれば、お早めに相続の専門家である司法書士までご相談下さい。(寄与分や特別寄与料について争いがある場合には弁護士となります)
3.特別受益が認められるケース
特別受益が認められるのは、以下のようなケースです。
・相続開始前10年以内に被相続人から生前贈与を受けた
・死因贈与を受けた
・遺贈を受けた
4.特別受益の持ち戻し計算
特別受益が認められる場合、その相続人の遺産取得分を減らす「特別受益の持ち戻し計算」を行うことができます。先に利益を受けた分、その相続人の遺産取得割合を減らして公平に相続するためです。
5.特別受益の持ち戻し計算は免除できる
被相続人が特定の相続人に生前贈与をすると、遺産相続の際に他の相続人が特別受益による持ち戻し計算を主張するでしょう。受益を受けた相続人が特別受益を否定すると、遺産相続トラブルに発展してしまいます。
問題を避けるには「特別受益持ち戻し計算の免除」が有効です。被相続人本人の意思により、特別受益の持ち戻し計算を免除するのです。きちんと遺言書などに定めておけば、遺産分割協議で他の相続人が特別受益の持ち戻し計算を主張できなくなり、無用なトラブルを防止できます。
遺産相続や遺言の際、特別受益について疑問や希望があれば、お早めに相続の専門家である司法書士までご相談下さい。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士 オールシップ
代表
市山 智
- 保有資格
司法書士 行政書士
- 専門分野
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相続・遺言・成年後見・民事信託
- 経歴
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相続・遺言・生前対策を中心に取り扱う「司法書士法人・行政書士オールシップ」の代表。相続関係の手続きや成年後見等の財産管理など、年間300件以上の相談に対応。分かりやすく・笑顔で相談に乗れるよう心掛け、迅速・丁寧な対応で依頼者からの信頼も厚く、リピートや紹介での依頼も多い。相続関連書籍の執筆協力やセミナー・研修等の講師実績も多数あり。