母が認知症、初めての成年後見人の申立てと後見人就任まで
事案(家族関係)
お母様は認知症が進み、グループホームに入居しています。
家族は、ご主人、長女、長男でしたが、ご主人が病気でなくなりました。
そこで、ご主人の相続手続きと、空き家になった自宅の対応が必要になりました。
困った!認知症で相続手続ができない
手続きには、相続人全員の同意と署名押印が必要です。
ですが、お母様は認知症が進んでいて、ご主人が亡くなったことも理解が難しい状態。
必要な相続手続きや自宅の売却などを進めることができない状況でした。
当事務所からの提案&お手伝い
お母様の状態から、成年後見制度を利用した解決をご提案いたしました。
ただし、お子様がいる家庭では、成年後見制度の利用にあたって注意点がいくつかあります。
注意点を了解いただき、成年後見の申立てに進みました。
解決
まずは、成年後見制度を詳しくご理解いただくことから始めました。
どんな制度なのか、誰が後見人になるのか、手続きの流れ、後見人が選ばれた後にすること等々。
成年後見の利用は、家庭裁判所に申立てます。
申立ての際には、「候補者」欄のところに、この人を成年後見人に推薦しますという希望を書くことができます。
成年後見人になる人に法律上の制限はありません。ですので、ご家族を「候補者」として申立てをしても構いません。
ただ、最終的に決めるのは裁判所(裁判官)です。裁判所の実際の運用として、事案によっては、ご家族が成年後見人になることに慎重な傾向があります。特に平成26年ぐらいからはその傾向が顕著です。
こちらのご家族では、普段は長女が、お母様のグループホームに頻繁に見舞いに行ったり、必要な日用品を揃えたりと支えています。長女としても、自分が後見人をやりたいという希望がありました。
相続手続きや自宅の売却などの法的な課題がある状況のため、必ずしも長女が後見人に選ばれるか確証はないことも含めて検討し、ご家族と一緒に、候補者をどうするか話し合いました。
長女を候補者として申立てをした場合でも、もし裁判所が第三者の専門職が適任と判断した場合は、まったく知らない第三者の専門職(後見人を行っている司法書士、弁護士、社会福祉士など)が選ばれることになります。ご家族しては、この点に不安を抱いていました。
そこで、私たちを成年後見人の候補者として申立てをすることも可能ですということをご提案しました。
申立ての段階からいろいろとご相談いただき、お互いの人柄もわかっているため、まったく知らない第三者よりは安心ということで、当事務所の成年後見を担当している司法書士を候補者として申立てを行いました。
結果的に、当事務所の司法書士が後見人に選任され、お母様の財産の管理、お父様の相続手続きや自宅の売却について、一つずつ対応を進めていくことになりました。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士 オールシップ
代表
市山 智
- 保有資格
司法書士 行政書士
- 専門分野
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相続・遺言・成年後見・民事信託
- 経歴
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相続・遺言・生前対策を中心に取り扱う「司法書士法人・行政書士オールシップ」の代表。相続関係の手続きや成年後見等の財産管理など、年間300件以上の相談に対応。分かりやすく・笑顔で相談に乗れるよう心掛け、迅速・丁寧な対応で依頼者からの信頼も厚く、リピートや紹介での依頼も多い。相続関連書籍の執筆協力やセミナー・研修等の講師実績も多数あり。