金銭トラブルを抱えている可能性のある父が認知症に…誰が後見人になる?
事案(家族関係)
お父様は認知症が進み、介護施設に入居しています。
家族は、奥様、長男です。
お父様は自分の老後の蓄えとしては充分な資産があるようですが、家族にはまったく教えていませんでした。
認知症が進んだ今では、人を信用せず、常に通帳や印鑑を肌身離さず持っている状態です。
家族がわかる範囲での過去の話や、家にある郵便物などを見る限り、親族との相続トラブルや金銭トラブルも抱えていそうでした。
なにより、介護施設の費用の支払いや奥様の生活のこともあり、適切な財産管理が必要な状況でした。
当事務所からの提案&お手伝い
お父様の状態から、成年後見制度を利用した解決をご提案いたしました。
不明な財産状況については、選ばれた成年後見人が各銀行などに調査をして、適切に管理をしてもらうことができます。また、親族と抱えている相続トラブルや金銭トラブルについても、本人に代わって後見人が確認して、対応してもらえます。
ただし、お子様がいる家庭では、成年後見制度の利用にあたって注意点がいくつかありますので、注意点を了解いただき、成年後見の申立てに進みました。
解決
まずは、成年後見制度を詳しくご理解いただくことから始めました。
どんな制度なのか、誰が後見人になるのか、手続きの流れ、後見人が選ばれた後にすること等々。
後見人はあくまで本人の代わりとなって動いてくれる、本人の代理人です。必ずしも家族の意向どおりに動いてくれる立場の人ではありません。
特に、第三者が成年後見人に選ばれた場合は、家族との関係性や距離感、その報酬のことも理解が必要です。
ご家族としては、裁判所が適任と考える第三者を選んでもらい、本人の財産管理はもちろん、抱えているトラブルも解決してもらいたいというご希望になりました。
申立ての際に、後見人の候補者を指定しない場合は、裁判所が事案によって適任と考える第三者の専門職(後見人を行っている司法書士、弁護士、社会福祉士など)を選任します。
今回は、抱えている法的紛争が比較的大きな話になりそうなこともあり、裁判所のほうで、解決できる弁護士の人を後見人に選んでもらえるとよいのではないかという状況でした。
申立の際は、実に多くの書類を提出しないといけません。家にある書類をこちらでよく精査して、必要な書類をピックアップ。申立書類を一式作りました。
また、裁判所には適任な専門職を選んでもらえるよう、トラブルに関する郵便物や資料など集められる限りの情報を整理して、お父様が置かれている状況や解決すべき課題などを書き記しました。
結果的に、地域の弁護士が後見人に選任され、お父様の財産の管理、相続トラブル等について対応を進めていくことになりました。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士 オールシップ
代表
市山 智
- 保有資格
司法書士 行政書士
- 専門分野
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相続・遺言・成年後見・民事信託
- 経歴
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相続・遺言・生前対策を中心に取り扱う「司法書士法人・行政書士オールシップ」の代表。相続関係の手続きや成年後見等の財産管理など、年間300件以上の相談に対応。分かりやすく・笑顔で相談に乗れるよう心掛け、迅速・丁寧な対応で依頼者からの信頼も厚く、リピートや紹介での依頼も多い。相続関連書籍の執筆協力やセミナー・研修等の講師実績も多数あり。